ライシャワーの見た日本①

24/09/2019

 昨今の日本では、従来日本人が持っていた倫理観・美的感覚からは想像も出来ないような事態が頻発している。社会規範が或いは常識が、悲しい位に機能していないように思える。

 何が崩れていて、何に希望を求めれば良いのか、誰もが深刻に考えなければ日本社会は崩壊してしまう。

 日本人が劣化したと言われるが、何が劣化したのか、本来あるべき日本人像とは何なのか。駐米大使であったライシャワー博士の著書「ライシャワーの見た日本」から、終戦直後の日本人の行動様式が、米国人にどのように見えていたのか再確認したい。

 著書の目次に沿って、その要約と自分の考察を記すところである。

要約

三章 日本人の性格

第六章 日本人と外部の世界

第一節 地理的孤立

 地理的孤立が、高度に同質的な民族人種さらには、非常に同質的な文化を作った。1千年に渡って日本人種には大規模な混血がなく、統一的民族として融合している。

 歴史を通じて、外国との接触が稀である。一方で接触がある時は、徹底的な海外からの借用という形になる。中国の唐朝を模範とした時期、徳川時代の孤立、そして過去百年の熱狂的西欧化である。

 日本人は地理的孤立のために、自力で文明を発展させたが、海外からの借用という概念に圧倒され「土着のもの」と考えられた要素を他の国民以上に強調した。漠然としてか分からない日本史の初期に拠り所を探し求め国家主義的教養を正当化した。

 日本人は、新しいものの採用に熱心である、この点で我々と似ているが、天皇制等古いものも大事にすると言う点で異なっている。日本の時代遅れ面は多く、天皇制自体がその典型である。日本の天皇は事実上、十二世紀には、場違いな前世紀の遺物となっている。


自分の考察

 日本人の同質性について同意、「同質性」をもって日本人らしさと意識しているのが日本人なのではないかと思う。例えば、「大和魂」等と言われても、そのものが古来からの考え方を意味するものである。八百万神(やおよろずのかみ)というか日本人は論理性に乏しいか何でも受け入れられるのであろう。

 日本人の実体は、人の良い集団であり、その日本社会の一体感で純粋培養された民族ではないかと思う。騙され易さは、そこに起因するのではないか。また、同質性の高い社会であるが故に排他的であり、ムラの中の人と外の人では対応が異なる。外国人に対応するには、異質な存在があることを認める視野と度量が必要である。

 一方で、人が良いのは素晴らしいことである。過当競争により、失われた日本人の良さは何かを追求すべきである。そのためには考える力を磨き、個の確立した日本人が新しい時代を築く時が到来したのだと思いたい。タイ人の女の子に言われたことがある。「百年前は沢山人を殺せる人が有能な人、今はそうではない。人間は進歩している」と。


 ご意見等頂ければ、有り難く存じます。

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